バベシュ・ボヨイ大学および日本文化センターについて

ルーマニア国立バベシュ・ボヨイ大学

バベシュ・ボヨイ大学(「バベシュ・ボヤイ大学」とも表記されます)は東欧ルーマニアのトランシルバニア地方にある第二の都市「クルージュ・ナポカ市」にある国立大学です。前身は1581年創立の「クルージュ・アカデミア(Academia/ Universitas Claudiopolitana)」であり、ルーマニアでも最も長い歴史を持つ高等教育機関です。2022年現在の学生数は4万8千人で国内最多、学科数も国内最多の総合大学であり、中・東欧では名の知れた大学です。22の学部を持ち、ルーマニア語、ハンガリー語、ドイツ語、英語、フランス語による授業を提供しています。

大学HP(英語):https://www.ubbcluj.ro/en/

(バベシュ・ボヨイ大学本部。各学部は街中に点在する。)

 

ルーマニア国立バベシュ・ボヨイ大学日本文化センター

ルーマニア国立バベシュ・ボヨイ大学日本文化センター(CCJUBB)は、本学における日本学の発展を推進し、かつ、それを公共へと発信すべく、本学元ビジネス学部学部長ヨアン・アリン・ニストル氏の尽力により設立され、石井喜三郎元ルーマニア日本国大使館特命全権大使の立会いのもと、2017年に開設されました。

バベシュ・ボヨイ大学には各国外国文化センターが20以上あります。文化センターは文化外交のかなめであり、各国政府は積極的に資金や人材を投入し、言語教育や文化紹介を通じた国のプロモーションを行っています。大学は場所を提供するのみで、各センターに対して予算を充てていません。バベシュ・ボヨイ大学には昔から文化外交に積極的な中国や韓国の文化センターがありましたが、日本の文化センターだけは存在しませんでした。

そこで立ち上がったのが当学商学部学部長(当時)のヨアン・アリン・ニルトル氏です。神戸大学に学び日本への思い入れが深いニストル氏は何らかの形で日本へ恩返しをしたいと長らく望んでおり、日本文化センターの設立を提案しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

(商学部元学部長ヨアン・アリン・ニストル氏)

このニストル氏の尽力により、2017年に石井喜三郎在ルーマニア日本特別全権大使の立会いの元、「バベシュ・ボヨイ大学日本文化センター」は開会しました。「バベシュ・ボヨイ大学日本文化センター」は特定の学部や学科に従属しておらず、各学部と同じく大学執行部直轄の組織であり、スタッフのボランティアで運営されています。

2018年にはバベシュ・ボヨイ大学出身・ルーマニア在住歴が長く、トランシルバニアで話されている主要言語であるルーマニア語、ハンガリー語、ロマニ語(ロマ民族(=ジプシー)の言語)を含め数か国語に精通した言語学者の角 悠介(すみ ゆうすけ)が所長に任命され、本格的な活動がスタートします。

 

活動と特徴

バベシュ・ボヨイ大学日本文化センターでは、主に学外者(子供、中高生、他大学学生、日本語学科卒業生、社会人など)を対象とした日本語教育や講座、文化イベントなどを運営しています。この手の活動は他の文化センターも行っておりますが、当センターには他の団体と一線を画す多くの特徴があります。

(日本語講座ちらし)

(NTT DATAルーマニア本社における子供向け日本語クラス/クルージュ・ナポカ市パレード参加)

(盆踊り大会/投扇興大会)

(地元小学校における日本文化紹介)

日本文化センターの活動は大学や都市、そして国の枠を超えています。日本国大使館の要請によりクルージュ・ナポカ市以外の都市での日本文化イベントを開催したり、あるいは隣国ハンガリーでも活動を行ったりしています。また、国内の学校や慈善団体と協力し、貧しい子供たちのための支援活動等にも参加しています。当学に留学する日本人学生もセンターを通じて様々な文化活動に参加しています。

(日本国大使館との合同によるティミショアラ西大学での日本文化紹介/ハンガリーのカーロリ・ガシュパール大学における文化イベント開催)

(ヤシ市における和太鼓ワークショップ/和太鼓コンサート)

(児童保護施設の子供たちのための和太鼓ワークショップ/児童施設への文房具の寄付)

センターの最も大きな特徴は、日本とルーマニアの友好関係の発展を目指した日本国内におけるルーマニアの積極的なプロモーションへの取り組みです。当センターは在ルーマニア日本国大使館はもちろんのこと、在日ルーマニア大使館、在大阪ルーマニア名誉領事館と連携しながら活動を行い、日本の都市とルーマニアの都市の姉妹都市の仲介、両国の高校の提携の仲介、さらに他の大学と日本の大学の学術提携の仲介まで手広く行っております。また、2021年には角所長の推薦により、女優・劇作家の渡辺えり氏がドランガ・オヴィディウ駐日ルーマニア大使によって日本初の「ルーマニア親善大使」に任命されました。また、スタッフの一人である瓦愛都(かわら あと)はクルージュ・ナポカ市のルーマニア国立オペラに所属し、日本大使館主催の天皇誕生祝賀会で両国国歌を独唱し、ルーマニア大使館主催のルーマニア・ナショナルデーにおいて両国国歌を独唱しています。このほか、大学のルーマニア語学科と共同で外国人によるルーマニア語の発表会等を運営し、ルーマニア語の普及振興にも努めています。日本のプロモーションだけでなく、ルーマニアのプロモーションまで行う日本関連団体は恐らく他に存在しません。

(在日ルーマニア大使館にて。左からオヴィディウ・ドランガ駐日ルーマニア大使、(株)Japan Creative Enterprise代表クリスティアン・ヴラド氏、女優・劇作家・ルーマニア親善大使渡辺えり氏、日本文化センター所長角悠介/加藤友康在大阪ルーマニア名誉領事の日本文化センター訪問)

(文化イベントにて。植田浩駐ルーマニア日本大使、大使館職員2名、Anime Culture Club代表ヴラッサ・トゥドルおよびクリスティーナ・ロマン、日本文化センター所長角悠介/植田浩大使の日本文化センター訪問)

(東京。ルーマニア・ナショナルデー記念式典における当センタースタッフ瓦愛都によるルーマニア国家独唱/ブカレスト。天皇陛下誕生祝賀会における当センタースタッフ瓦愛都による国家独唱。左からニコラエ・チウカ首相、植田浩駐ルーマニア日本大使、植田大使夫人、瓦愛都。)

(角所長によるヤシ市表敬訪問/ドランガ・オヴィディウ駐日ルーマニア大使と角所長による静岡市長表敬訪問)

(兵庫県におけるルーマニア紹介/静岡市におけるコンサート)

(神戸市外国語大学における講演会/NPO地球ことば村との合同イベント)

 

スタッフ

現地スタッフは所長も含め基本的にボランティアです。当学に留学する日本人留学生がこれに加わります。

日本語講師は博士課程在籍以上を基準とし、高等教育機関での教育経験がある者を採用しています。彼らは日本語教師・日本文化のプロモーターである以前に、「異文化コミュニケーション」のエキスパートです。当センターは他の外国センター、あるいは他国の日本文化関連団体が行っているような一方的な国のプロモーションや言語教育を行いません。常に学習者の文化や言語に対して敬意を払い、互いの文化を尊重しあえる環境の中で国際交流・日本語教育を行っています。

当センターには日本の教育機関との強いパイプがあります。このため、当センターは日本語学習者に対し、日本語をただ学ぶだけでなく、日本人との国際交流イベントを通じて積極的に日本語を用い、同時に自分たちの文化を日本に紹介する機会を提供しています。両国における相互の文化プロモーションを言語教育に活かす。このような方針で言語講座を運営しております。

 

当学の留学生

当センターでの活動に携わった日本人留学生の中には、外交官になった方(https://www.u-fukui.ac.jp/fukupre/86301/)、日本でルーマニアと日本をつなぐ団体を設立した方(https://www.shizuoka-romania.com/)もいます。当学で学ぶ日本人学生の数は多くはありませんが、留学生には実践的な国際交流活動の場を提供しています。

また、バベシュ・ボヨイ大学は国内トップの大学であり、日本の外務省職員のルーマニア語研修機関の一つでもあります。これまで数多くの専門職員が当学でルーマニア語を学びつつ、日本文化センターの活動に携わっています。

 

活動目的(センター規則より)

  1. 日本におけるルーマニアの紹介、ルーマニア及び中欧における日本の紹介
  2. 本学と日本の大学との協力関係の構築と推進、また、(Erasmus+プログラムを含めた)全ての分野における学術交流の発展の推進。
  3. 日本の世界への貢献について客観的に調べるために、日本の言語、歴史、文化、社会をテーマとする個別および共同研究プロジェクトの展開と充実。
  4. 時事問題に関する主題を扱う大学・大学院レベルの講義の提供。受講者は担当講師の評価に基づいた参加証明書を得ることとする。
  5. 国内外、特に日本の公共・学術団体、或いは市民団体・私設団体との協賛による学術的行事、相応しい文化行事の企画・運営。
  6. 日本に関心のある学術、政治、外交、芸術、公衆、経済、マスメディア等の業界を対象にした助言・情報査定の提供。
  7. 主に国内外からの寄付を基盤とした専門図書室の発展。

 

当センター主催・在ルーマニア日本国大使館後援による運営行事一覧

2024/06/15 日本歌曲リサイタル(トランシルバニア民族学博物館)

2024/06/15 日本文化アトリエ(トランシルバニア民族学博物館)

2024/05/14 松崎周防衛駐在官ご講演会(当学ヨーロッパ学部)

2024/03/9, 11 Japan Fujiyama Festival(ヤシ市、クルージュ・ナポカ市)

2023/11/11-12 Let’s Enjoy More Japanese Movies!(講演会)

2023/10/28 茶道デモンストレーション&第二回投扇興大会(ルーマニア)

2023/02/18 第6回ルーマニア日本合同学生会議 招待:神戸大学

2023/02/18 O mie de cocori pentru pace (展示会「平和のための千羽鶴」)

2023/01/28 ルーマニア日本合同学生会議 第5 招待:東洋大学

2022/06/06-19 CCJUBB日本文化週間2022

2022/03/12 ルーマニア日本合同学生会議 第4回 招待:神戸大学

2021/12/18 ルーマニア日本合同学生会議 第3回 招待:福井大学

2021/11/05 CCJUBB日本文化月間2021(計5つのオンラインイベント)

2021/06/05 バーチャル日本旅行 第2の旅(ファイナルトリップ):福井県

2021/05/28 外国人ルーマニア語話者の声 第二回オンライン開催

2021/04/21 講演会「ルーマニア語ことはじめ~呪文で知るルーマニア人の言語と文化」(神戸市外国語大学)

2021/03/20 オンラインフォーラム「トランシルバニア~森とことばの壁の向こう側」(NPO法人地球ことば村共催)

2021/03/13 バーチャル日本旅行 第1の旅:兵庫県

2021/03/06 ルーマニア日本合同学生会議 第2回 招待:神戸大学

2020/11/20 ルーマニア日本合同学生会議 第1回 招待:松葉舎

2020/03/24-25 Limba japoneză la Cluj – oportunități și deschideri(講座&ラウンドテーブル)

2019/12/16-22 Săptămâna culturii japoneze

 

日本文化紹介を行った教育機関等

Liceul Teoretic Eugen Pora, Cluj-Napoca (24.05.2024/ 14.10.2024, Biblioteca Județeană Octavian Goga, filiara Traian Brad)

Colegiul Național George Barițiu, Cluj-Napoca (15.05.2024)

Liceul Teoretic Elf, CLuj-Napoca (23.04.2024)

Liceul Teoretic Mihai Eminescu, Cluj-Napoca (26.03.2024)

Colegiul Pedagogic Gheorghe Lazăr, Cluj-Napoca (14.03.2024/ 26.01.2024)

Școala Internațională Gimnazială Spectrum, Cluj-Napoca (29.02.2024)

Școala Gimnazială Iuliu Hațieganu, Cluj-Napoca (19.01.2024)

Liceul Teoretic Avram Iancu, Cluj-Napoca (20.12.2023)

Centrul de Studii Japoneze al Academiei de Studii Economice, București (17.11.2023)

Pata Rât, Cluj-Napoca (16.11.2023)

Școlii Gimnaziale Gheorghe Șincai din Florești, Florești (08.11.2023)

Colegiului Național Gheorghe Șincai, Cluj-Napoca (06.11.2023)

Károli Gáspár University of the Reformed Church, Budapest (26.10.2023)

Seminarul Teologic Ortodox, Cluj-Napoca (26.02.2020)